- 国は副業を推進しているのに公務員は副業禁止
- みんなが副業で稼いでいる金額は月2.9万円
- 副業はあくまで手段
- 支出管理でお金を作り、無報酬でスキルを身につける
公務員の副業は「国家公務員法」と「地方公務員法」で禁止されています。
厚生労働省のホームページには、「企業も働く方も安心して副業・兼業に取り組むことができるよう、環境整備を行っています。」と書いてあるにもかかわらず。
さらに、政府は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を定めているにもかかわらず。
言っていることとやっていることが全然ちがーーーう!!!
どうして公務員だけ副業禁止されないといけないんだ!
政府が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を定めたように、副業を推進する流れになっているからこそ、公務員の副業禁止には納得できません。
万が一、副業がばれた場合、「減給又は戒告」の懲戒処分を受けます(参考:人事院「懲戒処分の指針について」)。
副業でお金とスキルが欲しいけど、結局、諦めるんだよな。
大丈夫。公務員でも、懲戒処分の心配なく副業と同じ結果を得る方法があるよ。
公務員時代にお金とスキルを身につけて31歳で1,100万円貯めて転職した私が、今より自由に使えるお金を増やしつつ、本業以外のスキルを身につける方法をお伝えします。完全に合法です。
公務員の副業禁止がおかしい2つの理由
国は副業・兼業を推進している
労働基準法(第89条の規定)により、10人以上の従業員を雇う会社は就業規則を作成しなければなりません。
厚生労働省では、「モデル就業規則」を作成し、就業規則作成の参考にするよう呼びかけています。
就業規則とは、仕事をする時のルールだよ。
厚生労働省が公開している現行の「モデル就業規則」では、副業・兼業について「原則認める」としています(参考:厚生労働省「副業・兼業の促進に関する取組について」)。
モデル就業規則における副業の扱いの変化 | ||
副業・兼業の扱い | 内容 | |
平成30年1月以前 | 「原則禁止する」 | (遵守事項) 第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。(略) ⑥ 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。(略) |
令和2年9月以降 | 「原則認める」 | (副業・兼業) 第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。(略) |
さらに、政府が出している方針においても、副業・兼業を推進するよう明記されています。
政府による副業の推進のための取り組み | |
成長戦略実行計画 (令和2年7月17日) | 「未来投資会議の審議においても(略)、ルールを整備し、企業が安心して兼業・副業を認めることができるようにすることが重要」 |
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 (令和4年6月7日) | 「副業・兼業を許容しているか否か、(略)情報開示を行うことを企業に推奨する。」 |
規制改革実施計画 (令和5年6月16日閣議決定) | 「厚生労働省は、(略)、副業・兼業がより行いやすくなるよう環境整備を進める。」 |
政府による副業の推進のための取り組み | |
成長戦略実行計画 (令和2年7月17日) | 「未来投資会議の審議においても(略)、ルールを整備し、企業が安心して兼業・副業を認めることができるようにすることが重要」 |
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 (令和4年6月7日) | 「副業・兼業を許容しているか否か、(略)情報開示を行うことを企業に推奨する。」 |
規制改革実施計画 (令和5年6月16日閣議決定) | 「厚生労働省は、(略)、副業・兼業がより行いやすくなるよう環境整備を進める。」 |
信じられますか。公務員には副業を禁止し、違反した場合の処分まで決められているにもかかわらず、国は企業で働く人に副業・兼業が行える環境づくりをおこなっています。
副業を認める民間企業は2019年以降、急増しています。
経団連の調査によると、副業を「認めている」・「認める予定」と回答した民間企業は70.5%。
さらに、20代男性の17.8%が副業・兼業に取り組んでいます(参考:内閣府「第2-1-14図 副業・兼業実施の推移とその効果」)。
20代男性のおよそ5人に1人が、副業・兼業に取り組んでいる計算です。
企業に勤める方には副業を推進しているにもかかわらず、公務員は法律で副業禁止。
やっぱり、おかしい。矛盾しています。
時代遅れの法規制
副業を禁止する法律が作られたのは戦後まもなく。国家公務員法は1948年、地方公務員法は1950年です。70年以上前に作られた法律によって、現代の公務員の副業は禁止されています。
1950年は、国民皆保険制度が成立する前。しかし、公務員のための健康保険制度はすでに成立していました。
1956年の時点では日本の人口の約3分の1が健康保険に未加入の状態だったにもかかわらず、公務員は健康保険に加入できていたということです(参考:Japan Health Policy NOW「公的医療保険の歴史」)。
公的年金制度においても、地方公務員法が成立した1950年(昭和25年)ごろの公務員の制度は自営業者や民間被用者より充実していました。
急激な物価高に対応するための物価手当が支給されていたこともありました。
副業禁止の法律が作られた当時の公務員は副業の必要がないくらい、ほかの労働者より恵まれていました。
しかし、現在は違います。
物価が上がっても物価手当はなく、共済年金制度が廃止され、退職手当も削減されています。
国家公務員の生活実態調査においても、「生活が苦しくなった」と回答した組合員が、半数に迫る勢いです(引用:公務労協「人事院・政府に2024春季要求書を提出」)。
副業禁止が現代の状況にあった規制だとはまったく思えません。
完全合法で公務員ができる対策
副業より効率よくお金を稼ぐ
禁止されていても副業でお金稼ぎたいんだよな。
副業している人はいくら稼いでいるか知ってる?
副業している人はいくら稼いでいるか、内閣府が公表しているおもしろいデータを紹介します。
内閣府の調査(2021年)によると、
29歳以下の男女が副業・兼業から得た収入は「男性:35.3万円/年」、「女性:34.7万円/年」。
つまり、29歳以下の男女が副業・兼業で稼いでいる金額は、「平均35万円/年」です。
副業している20代の男女は、「月2.9万円」、稼いでいる計算です。
月2.9万円!? 意外と少ないね。
でも、月2.9万円を楽に稼げると最高じゃない?
では、「本業の時給」と「副業の時給」はどちらが高いか比較しよう。
こちらも内閣府が公開しているデータです。
「本業のみの時給」を基準に、副業をおこなった1年目と2年目に「本業+副業の時給」が伸びたかを示しています。
「本業のみの時給」と「本業+副業の時給」を比較したとき、「本業+副業の時給」の方が下回っていました。
つまり、本業の時給より副業の時給の方が低いということ。
本業以上に時間をかけて月2.9万円稼いでいるのか。
みんな、副業して楽に大金を稼いでいるわけじゃないんだ…
イメージしていた副業で稼げる額とは違うかもしれないね
20代の貴重なプライベートの時間を使って、本業以上の時間をかけて月2.9万円稼ぐ。
普段、利益や売り上げを追求していない公務員にとっては、お金を稼ぐことの大変さを感じることになるかもしれません。
もちろん、副業によって金額以上に価値ある経験ができると思います。
しかし、月2.9万円、自由に使えるお金を確保したいのであれば、副業より効率の良い方法があります。
まずは支出を見直して、使えるお金を増やすといいよ。
副業でお金を稼ぐ理由のひとつは、今以上に使えるお金を増やしたいから。
自由に使えるお金を作るという目的においては、「お金を稼ぐこと」も、「支出を減らすこと」も同義です。
わかるようなわからないような…
私は、固定費を減らして、ボーナスを全額貯金し続けることで31歳で1,100万円貯めました。
大切なのは、生活の満足度に影響しない固定費を減らすこと。
毎月の固定費を減らすことで、時間をかけず、生活の満足度も下げず、副業で手に入る金額と同額のお金をすぐに作れます。
- 大手電力に電気代を払っている
- ガス代の比較をしていない
- 賃貸住宅の火災保険がどこの会社かわからない
- 保険料の比較をしていない
- 格安SIMを使っていない
1つでもチェックがついた方は、副業をせずとも固定費を見直せば、自由に使えるお金を増やせます。
支出を見直す具体的な方法と、手取り18万円の若手公務員が1年間で75万円貯める方法について解説しています。
無報酬でスキルを身につける
お金だけじゃないよ。
新たなスキルを手に入れたいから副業をしたいんだよ。
報酬を受け取らず、勤務時間外に趣味としてスキルアップを目指すといいよ。
公務員が報酬を得て営利企業の業務に従事するには許可が必要です(参考:内閣官房内閣人事局「国家公務員の兼業について(概要)」)。
書籍の出版や講演などでない限り、ほとんど許可されません。
・報酬を得る
・営利企業に従事
・無報酬
・個人で趣味として活動
私は公務員時代、無報酬でスキルアップのため活動していました。
私が公務員時代に始めたのは、「LINE構築」です。LINEの公式アカウントを作成・運用するお仕事。
知り合いの飲食店の方にお声かけし、現在もLINE公式アカウントを運用しています。公務員時代から始めて1年以上経ちます。もちろん無報酬で始めました。
LINEは生活インフラになりつつあり、LINE公式アカウントの作成・運用のお仕事は今後の需要も見込めます。マーケティングの知識を勉強しながら運用するため、利益追求や売上に縁がない公務員にオススメのお仕事です。
なんのスキルも持たない公務員が転職活動をするときの武器にもなりました。LINEの認定資格「LINE Green Badge」は、無料でオンラインで取得可能です。1週間勉強すれば取得できます。
副業で自分で稼げるスキルを身につけたい場合は、「無報酬で趣味として」、ガンガン活動しましょう。
お金をもらって副業したい場合は「家業の手伝い」か「覚悟」
無報酬で家業の手伝い
家業であろうと、労働の対価をとして「報酬」を得て、事業または事務に「継続的又は定期的」に従事する場合、国家公務員法第104条で定められる「兼業」に該当します(参考:内閣官房内閣人事局「国家公務員の兼業について(概要)」)。
家族に協力してもらい、家族が事業を行い、それを無報酬で手伝います。
無報酬で家業を手伝うことで売り上げが出ると、家族全体で見ると収入が増加したことになります。
家族の名義だけ借りて活動実態が公務員の場合は、懲戒の対象になる可能性が高いので注意してください。
覚悟して副業に取り組む
副業がバレた場合の処分は、「減給又は戒告」。
一定期間給料を減らすか厳重注意するよ、ということ。
1.免職:公務員としての身分を失わせる処分
2.停職:一定期間、職務に従事させず、給与は支給されない処分
3.減給:一定期間、給与を減額して支給する処分
4:戒告:規律違反の責任を確認し将来を戒める処分(口頭による厳重注意)
※「免職」以外の処分は、人事記録に処分について記録され、昇任や昇格、昇給、諸手当の支給等に影響が生じます。
公務員を早く辞めるために副業に取り組む方は、懲戒処分を受けても「副業で稼いだお金とスキルで早く辞めるから。」と割り切って副業するのもアリかもしれません。
おすすめはしませんが、人生の主導権を他人に握らせてない感じがして個人的にはそういう考え方も好きです。
リスクと得られるリターンを理解して比較したうえで、判断してください。
副業は目的ではなく手段
副業する目的は何ですか?
お金が欲しいし、今のままではスキルがなくて不安…
副業の目的は、お金やスキルを得ること。つまり、副業は目的ではなく、手段です。
法律で副業が禁止されていることは明らかにおかしいですが、副業という手段にこだわる必要はありません。
支出管理をしてお金を作り、無報酬で趣味として、身につけたいスキルを伸ばせば良いのです。
支出管理をしてお金が貯まり、行動してスキルが身につくと、「最悪、いつ辞めてもいいな」と思えるようになりました。
不思議なもので、「いつ辞めてもいい」と思えると、嫌だったはずの仕事が減ってきます。
20代の時間は本当に貴重。今しかできないことがたくさんあります。
グレーゾーンの副業や、個人情報と引き換えにポイントをもらうポイ活に時間を使うのではなく、時間を使わずに支出を減らしてお金を作り、趣味としてスキルアップや友達との遊びに時間を使う生活がおすすめです。
公務員を辞めずとも、副業を禁止する法律に触れずとも、支出を減らして無報酬で活動すれば、お金とスキルは手に入ります。
この記事が副業禁止の規定に不満がある方、公務員として働き続けることに不安を感じている方のお役に立てれば嬉しいです。
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